2009年06月30日

映画「愛を読むひと」を観て来ました

 映画「愛を読むひと」をTOHOシネマズ岡南で観て来ました。

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 駐車場が広いので助かりますが、我が家からだと片道小一時間かかりました。

 今流行のビルの中にシアターが沢山あるというスタイルの映画館で、3年前に出たというだけあってキレイなんですが、スクリーンの縦横比がワイドテレビと同じ比率なんですよね。
 何となく損をした感じです。もっと横長スクリーンで観たかった。DVDを大きなスクリーンで観てる感じちっ(怒った顔)

 映画の日本版のキャッチフレーズは「わずか1ページで終わった恋が永遠の長編になる   」というもの。

 場所は第二次世界大戦後のドイツ。15歳のマイケル(少年時代役:ダフィット・クロス)は、偶然体調を崩し嘔吐していた自分を助けてくれた21歳も年上のハンナに介抱され、知り合いになり、恋に落ちます。ハンナに一目惚れしたマイケルは毎日のように彼女のアパートに通うようになり、いつしか彼女と男女の関係になります。ハンナはマイケルが本を沢山読む少年だと知り、本の朗読を頼むようになり、情事の前の朗読が習慣化したのでした。

 だがある日、ハンナは働いていた市鉄での働きぶりを評価され、事務職への昇進を言い渡されたのでした。 そしてその日を機に、ハンナはマイケルに何も言わずに消えて行きました。

 理由がわからずにハンナを失って数年後、マイケルはとある大学のは法科習生としてナチスの裁判を傍聴することになります。そして意外にもその被告席の一つにハンナの姿を見つけてビックリしたのでした・・・・。

 主人公のハンナ・シュミッツ役を演じたケイト・ウィンスレットがこの映画で今年、アカデミー賞の主演女優賞を受賞したということもあり、感動的な映画だという評判を聞いたので、観に行きましたが、すごく重い映画でした。

 ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説『朗読者』を、『めぐりあう時間たち』のスティーブン・ダルドリー監督が映画化した作品で、主演がタイタニックの主演女優だったケイト・ウィンスレットとなるとヒットしない訳がないと思したけど、ここまで表現されると原作もすごいけど、映像の与える印象も強いなあと思います。

監督も主な役者さんたちもプロ中のプロだと思いました。マイケルの若い頃を演じたデヴィッド・クロスも十代なのに、複雑な心理が絡む役を本当にうまく演じていたと思いました。

 最初の半分は村上春樹の「ノルウェーの森」みたいに、メイク・ラブがメインのお子ちゃまはダメよ(12歳未満は入場できません)の世界なのですが、後半は急にヘビーな内容になります。

 マイケルはたとえハンナの恥をさらすことになっても、自分が知っていることを証言して彼女の罪を軽くしてあげるべきだったのではないか????それとも、事実を隠蔽してでも彼女のプライドを守ってあげた彼の行動が素晴らしいのか???(あまり書くとネタばれになるので、これ以上は書きませんけど。ホントは彼女との再会の場面のことが非常に書きたいのですけど・・・。一言だけ書きます。マイケルがハンナと再会した際、彼女の手をしっかり握ってあげて、あるいはしっかり抱きしめてあげていれば彼女の余生はもっと変わったものになっていたんじゃないかと思えてならないのですが・・・。)

 二人の出会いが衝撃すぎて、燃え尽きてしまい、残りの二人の人生は付け足しだったのでしょうか?

 恥をさらして長生きするより、プライドを持って死んでいったほうが幸せなんでしょうか?

 この映画の感想を書いておられるブログをいくつか読ませていただきましたが、よく考えておられるかたは自分がマイケルの立場だったら、ハンナの立場だったら、を考えてみられて迷っておられます。

 映画のストーリーのように判断したとしても、あるいは逆の立場を取ったとしても、これが正しいということは断定できないように思います。

 人生ってそういうことってありますよね、分岐点がいろいろと。あとで、やはり逆にすべきだったと後悔することはあるかも知れないけど、ゲームと違ってリセットできないのですから、自分が選んだ道はそれがその当時自分が悩んで出した最良の結果だと自分を納得させるしかないと思います。
 それが一生涯十字架を背負う結論だとしても、後戻りはできないのですから。

 ストーリーは原作者ベルンハルト・シュリンクの少年時代の思い出的なところがあるそうなので、かなり事実に基づいているのかも知れませんけど・・・。

 映画の再場面を観ていると、被告人として裁かれる者の言い分や証拠はほとんど無視し、戦犯と決めつけた上で断罪した東京裁判と同様のムゴさを感じました。

 多くの戦犯とされた人々は上の命令に従っただけ、刃向かえば自分の命すら危うい人たちだったのにと、反論がほとんど許されない不公平な裁判で被告人たちが正義の名の下に有罪化され犯罪者とされたことのやるせなさを改めて痛感しました。

 戦争が幸せにするのは、一部の為政者と戦争成金くらいなものです。

 再会後、ハンナがマイケルに言った“どう感じようともどう考えようとも、死んだ人は生き返らない”という言葉の重みが胸にズシリと響きました。

 ちなみに中年以降のマイケル役を務めるレイフ・ファインズはスピルバーグの映画「シンドラーのリスト」ではナチの党員で戦犯として処刑されたアーモン・レオポルト・ゲート役を演じていました。
 イギリス人なのにドイツ人役を演じることが多いのは彼がドイツ人っぽいからなんでしょうかね?

 さて、この「愛を読むひと」は見終わったあと、ため息ばかり出るような、救いどころがないエンディングに口数も少なくなりますが、愛の本当の意味、愛する人のために今、自分自身は何ができるのか、何をすべきなのかを真剣に考えられる人には、是非ご覧になられるのをおすすめします。

 マイケルが娘をハンナゆかりの地へ連れて行き、真実を話しておこうと思ったのは、せめてものハンナへの罪滅ぼしなのか、それともこの事実を語りついで欲しいと思ったからなのでしょうか?

 ただ単にエッチな画像や軽率な恋愛映画目当ての人はご覧になって原作者・監督が何を表現したかったかは分からないと思います。
 これから観に行かれる若いかたはナチス親衛隊(SS)のことやアウシュビッツ収容所のことについて少し基礎知識を仕入れて行かれたほうが映画を理解しやすいと思います。

    

 非常に点数を付けがたい映画ですが、敢えてつけるなら★5満点として、★4つ半です。
 
 ★半分削ったのはこの映画の持つ重みをもっともっと噛みしめてみたいからです。
 すべてを理解したとすぐに言えるような作品ではないのです。

ラベル:愛を読むひと
posted by ミムさん at 16:09| 岡山 ☁| Comment(4) | TrackBack(8) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ミムさんのレビュー読ませてもらいました。

そうですね。どの選択が正しいかははっきり言えないと思います。

>自分が選んだ道はそれがその当時自分が悩んで出した最良の結果…

ほんと、そう思います。
私たちの日常においても、それがどんなに真っ当で、良い行いで、相手によかれと思ってしたことでも、それがその時相手が本当に望んでいたこととは限りません。
相手を理解して行うことが大事だと思います。
そういうことを考えればマイケルの選択も正しかったのでしょう。
でもあの食堂での接し方は、例えハンナが納得したとしてもちょっと切なかったです。

TBさせていただきました。
Posted by Mam at 2009年07月02日 16:42
Mamさん、TBとコメントありがとうございました。

Mamさんが書いておられるように、マイケルがあの食堂でもっと温かい気持ちのこもった言い方とスキンシップをしてあげていればハンナさんは収容所を出ても希望が持てたと思います。

 たぶんあのシーンを観て多くの観客はハンナさんの末路の予想がついたのではないでしょうか?

 寂しいエンディングでしたよね。
Posted by ミムさん at 2009年07月02日 17:20
TB&コメントありがとうございました。

マイケルがアウシュビッツを訪れるシーンや
裁判のシーンを見て、
ドイツの歴史をもっと知りたくなりました。

色んなシーンで
深く考えさせられる映画だったと思います。
Posted by みるく at 2009年07月06日 11:34
ミムさんTB有難うございます。私も率直にこの映画を見て、ハンナの運命の転機はいくつもあったけれども、マイケルはそう易々と行動に起こさなかった。人の尊厳を汚してまでも人生を揺るがしうる行動や助言、選択を自分はできるか?と、終映後、考え込んでしまいました。
Posted by ジョナジョナ at 2009年07月10日 01:51
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